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「グローバル市場で培ったストリーミングの知見とテクノロジを日本市場で活かす」:Index Exchange 香川晴代 氏

2024年は、技術革新と規制対応が交錯し、業界全体に柔軟で戦略的な対応が求められた一年だったと言える。こうした状況の中、株式会社フォーエムは、パートナーの皆さまとともに業界を盛り上げるべく、年末年始企画「Leaders’ Insights for Publishers」をスタートしました。本企画では、フォーエムと関わりのあるエグゼクティブの皆さまに寄稿を依頼し、それぞれの視点から2024年を振り返るとともに、2025年のさらなる成長を見据えた注力ポイントについてお話を伺った。本企画を通じて、当社は皆さまと一丸となり、業界の発展に貢献していく決意を新たにしています。

Index Exchangeにて、日本担当マネージングディレクターを務める香川晴代氏の回答は以下のとおりだ。

プロフィール(ご経歴や担当領域、直近のご注力領域など)

Index Exchangeの香川晴代です。2000年にデジタル広告業界でのキャリアをスタートし、DACの国際事業部(現Hakuhodo DY ONE)、オーバーチュア(現ヤフー)、アマゾン・ジャパンで日本での広告事業立ち上げに関わり、フェイスブック・ジャパン(現Meta)、動画アドテクノロジーのアンルーリーを経て、2019年12月よりグローバルSSP企業のIndex Exchangeで日本のマネージングディレクターとして日本事業を統括しています。

2024年に取り組まれた主な仕事やプロジェクトについて

2024年1月、Index Exchangeはエージェンシーやデータプロバイダーのキュレーションニーズに応えるべく、「Indexマーケットプレイス」の提供を開始しました。このツールは、デジタル広告の品質に対する懸念を背景に、エージェンシーやデータプロバイダー事業者が広告配信先メディアをキュレーションし、広告主に対して安全かつ効果的なメディア広告枠を提供できるようにするものです。

「キュレーション」という概念は、この1年で業界のバズワードとなりました。従来、キュレーションは主にDSPの担当領域とされてきましたが、現在ではサプライサイドにも広がっています。広告在庫の品質への懸念に対応するだけでなく、キュレーションを通じてサプライサイドがエコシステム全体にさらなる価値を提供し、キャンペーンの成果をより効率的に向上できることがすでに実証されています。

また、個人的な活動として、デジタル広告業界内における女性の活躍を支援しています。2024年はAdvertising Week Asiaで広告代理店女性の皆様と、「女性の活躍」をテーマとしたセッションへの登壇や、 3月8日の国際女性デーを記念し、デジタル広告業界における女性活躍 について、WPPジャパンCEOの松下恭子氏との対談を行うなど、多数のメディアにとりあげていただきました。

2024年のメディア業界で最も注目された出来事(個人的な視点も含めて)

2024年には、急増するMFA(広告目的で作られたサイト)や、日本におけるSNS上でのなりすまし型「偽広告」の問題が社会的な注目を集めました。

 MFAは、これまで当社が直面してきた中で、最もパブリッシャーの利益を損ない、プログラマティック広告の信頼性、正当性、そして効率性を著しく低下させる要因です。

当社は、2024年初頭にエクスチェンジからMFAを完全に排除することを決定しました。この問題に対応する責任は、SSP側にあり、バイサイドの課題ではありません。他のSSP企業も当社と同様の対策を講じることを強く期待しています。マーケターは、広告予算が適切なパブリッシャーに配分され、その結果として真の価値が生み出されていることを確信できるべきです。

また、7月末にGoogleがサードパーティCookieを完全に廃止するのではなく、ユーザー自身でChromeのプライバシー設定を管理できる機能を導入すると発表したことも、大きなニュースとなりました。しかし、Googleのアプローチにかかわらず、オープンインターネットの70%はすでにクッキーレスで運用されており、ユーザープライバシーの保護が最優先であることに変わりはありません。 

アドレッサビリティの実現には、チャネル、フォーマット、各国のプライバシー規制を包括的に考慮する必要性がますます高まっています。企業は、こうした多様な要素に柔軟に対応する必要があります。一部の広告在庫はクリーンルームを通じて確実に特定可能な場合もあれば、プライバシーサンドボックスのようなブラウザやOSベースのソリューションが機能する場合もあります。また、Unified ID 2.0のような代替IDが求められるケースもあります。こうしたソリューションのポートフォリオに積極的に取り組むことが、ユーザーファースト時代における成功の鍵となります。

2025年に向けての抱負や目標

グローバルマーケットでは、ストーリーミングTVのビジネスが大きな成長を遂げています。ストリーミングTVは、一瞬で莫大なボリュームの広告機会が生まれるという特徴から、予測不可能なコマーシャル枠、レイテンシーの問題、そして視聴率が高い瞬間に生じるインフラへの負荷など、多くの課題が存在します。プログラマティック広告はこのような課題に対応しながら進化を続けており、その知見や成功事例を日本市場に提供する準備が整っています。 

国内でも、日本テレビによる地上波広告のリアルタイムなプログラマティック販売開始など注目すべき動きが見られます。2025年には、日本でも業界全体で新しい潮流が生まれ、ストリーミングTV市場のプログラマティック化は加速すると見ており、当社のグローバル市場で培ったストリーミングの知見とテクノロジを日本市場で活かしたいと考えています。 

2025年は、昨年アドテクのエコシステム全体で達成した成果とイノベーションを基にさらなる発展を目指す年です。ストリーミングTVの急成長に伴う課題への対応、クッキー廃止後のアドレッサビリティ対策、在庫品質と透明性の向上に私たちのカスタマーが的確に対応できるよう、引き続きサポートしてまいります。 

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