2024年は、技術革新と規制対応が交錯し、業界全体に柔軟で戦略的な対応が求められた一年だったと言える。こうした状況の中、株式会社フォーエムは、パートナーの皆さまとともに業界を盛り上げるべく、年末年始企画「Leaders’ Insights for Publishers」をスタートしました。本企画では、フォーエムと関わりのあるエグゼクティブの皆さまに寄稿を依頼し、それぞれの視点から2024年を振り返るとともに、2025年のさらなる成長を見据えた注力ポイントについてお話を伺った。本企画を通じて、当社は皆さまと一丸となり、業界の発展に貢献していく決意を新たにしています。
Integral Ad Science Japan 株式会社にて、日本/韓国のカスタマーサクセスディレクターを務める竹井伸仁氏の回答は以下のとおりだ。
プロフィール
イギリスで音楽雑誌の編集者として活躍。帰国後の2003年にオーバーチュア株式会社に入社し、検索連動型広告の啓蒙・浸透に尽力。ヤフー株式会社転籍後はモバイル広告・コンテンツ連動型・広告ネットワーク品質などの業務に従事。その後、アマゾンジャパンにてアソシエイト・プログラムのプロダクトマネージャー、バーバーリージャパンでのDX責任者を経て、2016年 Integral Ad Science Japan 入社。国内外の大手広告主へのソリューション導入支援と広告効果計測の標準化、持続可能で健全なデジタル広告エコシステムの確立に向け日々奮闘中。
2024年に取り組まれた主な仕事やプロジェクトについて
2015年のIAS 日本オフィス設立以来、日本および韓国でのデジタル広告品質の透明性と計測の重要性の啓蒙、最適化の支援を行ってきました。アドベリフィケーションの認知度も向上し、IAS計測を導入される広告主様・代理店様・媒体様も着実に増加していますが、弊社が課題に掲げる「マーケットの意識改革」は未だ道半ばです。計測対象媒体やフォーマットの拡大、お客様が求める新たな計測手法とソリューションの拡充など、2024年もグローバルとローカル双方の視点で取り組みを進め、日本ではお客様からのニーズが特に高いLINEの計測範囲拡大や X ディスプレイ広告およびブランドセーフティ計測開始を実現しました。また、動画をフレーム単位で計測・解析しリスク判定を行う Total Media Quality （TMQ）の導入、イギリスを拠点にグローバルで展開する不正クリック対策のグローバルリーダーである LUNIO 社とのパートナーシップを通した日本での本格展開準備、デジタル広告品質の新たな優先指標となるアテンションをIAS独自のデータで可視化する「Quality Attention」もリリースしました。IASは2025年もさまざまなプロダクトやソリューションを通じてお客様の課題解決の支援を継続して参ります。
2024年のメディア業界で最も注目された出来事
やはり2024年のデジタル業界を席巻した生成AIの台頭と、生成AIがもたらすメリットおよび課題は大きな関心事のひとつです。eMarketer のリサーチによると、2026年までにオンラインコンテンツの90%をAI生成コンテンツが占めるとの予測もあります。弊社が発表した2025年のトレンドを予測した業界レポート「The 2025 Industry Pulse Report」でも、業界エキスパートの約6割が生成AIによりMFAサイトの作成が容易になり、その計測と広告掲載回避の必要性を感じる、と回答しています。生成AIがもたらすテクノロジーの進化と課題は表裏一体です。新たなテクノロジーの恩恵を享受しつつ、課題を解決し問題を最小限に留めるソリューションが必要とされており、IASも全力で取り組みます。需要が高まっているリテールメディアの躍進も非常に興味深い出来事でした。
2025年に向けての抱負や目標
2025年は IAS が日本でオフィスを立ち上げて10年の節目の年です。これまで同様に、デジタル広告品質の検証とさらなる透明性の実現、本質的評価指標の提供と支援に邁進していきたいと考えています。広告主様・代理店様・パブリッシャー様・プラットフォーム様とさらに密に連携・協力し、マーケットの啓蒙活動を通じて日本のデジタル広告業界の健全な発展に少しでも貢献することができれば、これほど嬉しいことはありません。2025年もどうぞよろしくお願い申し上げます！