さまざまなメディアでデジタル化が進む昨今では、Web広告を通してリアルとデジタルをどのようにして結び付けるかで悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
あらゆるメディアでWeb広告を配信すると膨大な予算がかかり、個別に買い付けると管理するのに手間がかかります。
しかし、これらの課題は「ディスプレイ&ビデオ360(DV360)」を使えば解消できます。
1. DV360とは
Googleが運営する「DV360」とは、リアルとデジタル領域をまとめて網羅できるメディア統合型のディスプレイ広告配信プラットフォームです。
もともとは「DoubleClick Bid Manager」という名称で運営されていたマーケティングプラットフォームでしたが、2018年7月にGoogleの広告主へ向けた複数のサービスが統合され、一つのサービスとしてリニューアルされました。
その際に統合されたGoogleの広告主向けサービスは、下記の通りです。
・DoubleClick Bid Manager
・キャンペーンマネージャー
・スタジオ
・オーディエンスセンター
広告主が手間なく快適に使えるサービスへと生まれ変わったDV360では、さまざまなメディアやデータを融合させた自由度の高い広告戦略を実現できます。
DV360を使えば、広告のターゲット設定や分析、質の高い広告枠の検索や管理が可能であり、最大規模の在庫を保有しているためマーケティング領域を効率的に拡大できます。
1-1. DV360とGDNの違い
DV360とGDNは、どちらもGoogleが提供するディスプレイ広告配信プラットフォームなので、違いがよくわからないという方は多いでしょう。
結論からいうと、DV360とGDNでは広告配信領域の広さで大きな違いがあります。
GDNは、Googleが提供するYouTubeやGmailなどの代表的なサービスをはじめ、提携する200万を超えるWebメディアやアプリに広告を出稿することができます。
一方でDV360は、GDNで配信できるGoogle系の在庫だけではなく、Google社以外の主要SSPとも接続されているため、広告配信できる領域の広さで明確な違いがあります。
GDNは、世界中のインターネットユーザーの90%以上に広告を表示できる広大なネットワークですが、DV360はGDNの2倍以上の配信在庫を保有しています。
DV360は、Googleのネットワークを超えて広告を配信できます。たとえば、GDNではYahoo!に広告を出稿することはできませんが、DV360であれば可能です。
詳しくは後述しますが、DV360は屋外ディスプレイなどのリアル領域へも接続されているため、広告配信領域の差は大きなアドバンテージであるといえるでしょう。
提供元:https://digiful.irep.co.jp/blog/35026091819
1-2. GDNと連携する
DV360は既存のGDNと連携できるため、効率的に配信スタートが可能です。
リマーケティングのリストを同期できるため、元々GDNリマーケティングをやっていればある程度のボリュームで配信開始することができます。
既存のGDN運用データやリマーケティングリスト活用と併せて、詳細なリーチ拡大ができるので、より効率的に広告を配信できます。
2. DV360のメリット
ここからは、DV360を利用するメリットを解説します。
DV360は、メリットとして以下の4つがあげられます。
・国内最大級の在庫を保有している
・詳細なターゲット設定ができる
・一括で広告キャンペーンとオーディエンスを管理できる
・豊富なクリエイティブフォーマット
2-1. 国内最大級の在庫を保有している
DV360ではGoogle社の広告に加えて、主要なSPP、タクシー広告、OTT音声広告などの買い付けが可能。国内在庫3,800億インプレッションを誇る、最大のアドネットワークです。
ターゲティングとマーケリストを同期すれば、より良質な媒体を利用することができます。
すでに多くの大手ネットワークが接続しており、今後も広告事業者は増えていく可能性が高いので、さらに幅広い事業者から配信先を決定できるようになるでしょう。
DV360で買い付けができる主な接続事業者は下記の通りです。
国内最大級の在庫を持つDV360では、豊富な在庫の中から特定のカテゴリーの種類のみに掲出するようなパッケージ化配信も可能なので、柔軟性は極めて高いです。
また、GDNと同様の精度が高い多彩なターゲティング機能も利用できるため、約2倍といわれている豊富な在庫を活用し、大幅にリーチを広げることができます。
2-2. 詳細なターゲット設定ができる
DV360では、Googleの広告内で使用できる詳細なターゲット設定を、Google以外のSSPやOTTでも活用することができます。
各媒体のデフォルトの仕様では設定できない詳細なターゲティングを利用できるので、より高い効果が期待できるオーディエンスに対して適切なアプローチが可能です。
Googleが提供するリストを利用できるため、位置情報に基づく詳細なターゲティングを活用でき、郵便番号や住所で細かく指定することもできます。
また、インタレストリストを用いることで、購入を検討しているユーザーに対してのみ、ピンポイントで広告を配信することもできるようになります。
DV360を使えばGoogleの詳細なターゲット設定を利用できるため、より効率的にコンバージョン率をアップする施策を検討できるでしょう。
2-3. 一括で広告キャンペーンとオーディエンスを管理できる
DV360は、一括で広告キャンペーンとオーディエンスを管理できるメリットがあります。
複数のメディアで広告を配信すると、予算が膨れ上がり管理する手間がかかります。広告枠を提供しているメディアを探すのは骨が折れる作業であり、さらに効果測定のため、その都度で予算やKPIを再び設定しなければいけません。
しかし、DV360を使えば広告枠を提供しているメディアを簡単に検索することができるため、広告キャンペーンを実施する手間を大幅に削減できます。
また、前述したようにDV360はGoogleが提供するサービス以外とも接続されているため、国内最大級の幅広い選択肢の中から、最適な出向先を検討することが可能です。
さらに、自社データと第三者データ以外にもGoogleデータを活用できるため、オーディエンスの作成と管理を楽に行えます。
DV360を経由して買い付けを行えば、複数メディアを横断した配信コントロールが一括でできるため、統合的な成果判断とレポーティングを行うことができるでしょう。
2-4. 豊富なクリエイティブフォーマット
DV360では、17種類のリッチクリエイティブが活用でき、3Dや音声などのフォーマットで広告配信が可能です。また、リッチクリエイティブは容易に作成することができ、高いパフォーマンスを生むことができます。
さらに、Googleスタジオを連携すると天気連動型クリエイティブやジオデータ連動型クリエイティブなどの高度なクリエイティブを生成し、配信することができます。
以上から、シグナルを活用したデータ連動型クリエイティブは広告パフォーマンスを高める効果があります。
3. DV360のデメリット
DV360には、目立つデメリットはほとんどありません。しかし、その中でも強いていうのであれば、下記の2点がデメリットとして挙げられます。
・自由度が高すぎるがゆえに使い方が難しい
・オープン型ではなくクローズド型のプラットフォーム
さまざまなSPPと接続されている点は大きなメリットではありますが、配信領域が広すぎる点は使い慣れていない方からすればデメリットにもなります。
また、リスティング広告のAdwordsやGDNのように、誰でもアカウントを開設して運用できるプラットフォームではない点もデメリットとして挙げられます。
DV360は、取り扱える会社が限定されているクローズド型のプラットフォームなので、個人のアフィリエイターなどが気軽に扱うことはできません。
さらに、DV360自体がそこまで知名度が高いわけではありませんので、インターネット上に公開されているノウハウが少ない点も懸念材料です。
4. DV360での配信方法
DV360では、下記の方法により広告を配信することができます。
1. クリエイティブの作成
2. 広告枠の検索と取引についての交渉
3. キャンペーンの設定
それぞれのステップを、一つずつ具体的に解説します。
4-1. ステップ1:クリエイティブの作成
DV360では、動画、ディスプレイ、オーディオなど、多種多様な種類の広告をさまざまなメディアで配信することができます。
しかし、タバコ、武器、ヌード、名誉棄損にあたるコンテンツ、ヘイト、違法行為、冒涜的な表現などは禁止コンテンツなので、広告として表示することはできません。
フォーマットや配信場所によっては他の要件が設定されている場合があるため、詳しくは下記のクリエイティブのガイドラインを参照してください。
⇒ディスプレイ&ビデオ360ヘルプ「クリエイティブのガイドライン」
4-2. ステップ2:広告枠の検索と取引についての交渉
続いては、広告枠の検索と取引についての交渉です。
・提案依頼(RFP)を作成する
・既存の取引提案の変更を提案する
DV360にはMarketplace、保証型取引、優先取引、非公開広告枠などのさまざまな広告枠があります。広告枠の検索と取引に関しては、下記の記事を参考にしてください。
ディスプレイ&ビデオ360ヘルプ「広告枠を見つける、取引を管理する」
4-3. ステップ3:キャンペーンの設定
広告キャンペーンの設定は、以下のステップで行われます。
1. キャンペーンの作成
2. ターゲティングの設定
3. 広告申込情報の作成
キャンペーンの作成では広告掲載オーダーを作成し、入札単価や予算を設定します。
オーディエンス、コンテンツ、テクノロジー、広告枠ソースなど、さまざまなターゲティング設定を利用できますので、購買意向の強いオーディエンスを絞りましょう。
広告申込情報の作成は、YouTube、動画キャンペーン、モバイル広告枠などでわかれています。詳しくは、下記の記事を参考にしてください。
ディスプレイ&ビデオ360ヘルプ「キャンペーンを設定する」