2024年は、技術革新と規制対応が交錯し、業界全体に柔軟で戦略的な対応が求められた一年だったと言える。こうした状況の中、株式会社フォーエムは、パートナーの皆さまとともに業界を盛り上げるべく、年末年始企画「Leaders’ Insights for Publishers」をスタートしました。本企画では、フォーエムと関わりのあるエグゼクティブの皆さまに寄稿を依頼し、それぞれの視点から2024年を振り返るとともに、2025年のさらなる成長を見据えた注力ポイントについてお話を伺った。本企画を通じて、当社は皆さまと一丸となり、業界の発展に貢献していく決意を新たにしています。
株式会社ソシオコーポレーションにて、メディア事業部 Managerを務める瓦野晋治氏の回答は以下のとおりだ。
プロフィール
2008年ロケットニュース24立ち上げからのメンバーとして、メディア事業戦略に従事。事業の成長と収益最大化のため、編集部支援や記事配信提携、広告商品設計・運用などにも取り組む。コンサルティングファームでのデータアナリストの経験も活かし、個人の活動として、複数の国内大手媒体社の事業部門とテック部門間の橋渡しや、事業戦略のアドバイザーとしてサポートを行う。
2024年に取り組まれた主な仕事やプロジェクトについて
2024年は、メディアの記事を「届ける力」を強化し、読者へのリーチ拡大と収益源の多様化に取り組む一年となりました。特に、新たなマネタイズ手法としてアフィリエイトに注力し、その可能性を探るトライアルを年末も進めています。
アフィリエイトは、これまでも取り組んできたものの、タイアップや運用型広告と比較すると規模の小さいものでした。今回の取り組みでは、改めてアフィリエイトを活用するためのコンテンツを設計し、読者の購買行動を意識した特集やレビュー記事を展開。単なる商品紹介にとどまらず、記事内容が読者の日常や意思決定に役立つよう工夫しています。このプロセスを通じ、新たな記事価値の発見と収益源の確立という成果を得ています。
2024年のメディア業界で最も注目された出来事
2024年は、リテールメディアに対する企業の期待が一段と高まっていることを実感した一年でした。リテールメディアは、購買データや濃密な顧客接点を強みに持ち、企業にとって重要なマーケティングパートナーとしてその存在感を強めています。一方で、記事を中心としたウェブメディアとは異なる特性を持つことから、新たな競争環境が生まれつつあります。
2025年に向けての抱負や目標
2025年は、メディアが持つ「届ける力」をさらに強化する取り組みを継続する必要があると考えています。これまで多くのメディアが低コストで流入を獲得できていた常識から脱却し、一般企業が当たり前に行っているようなマーケティング活動を積極的に取り入れなければ、メディア事業の先細りが進むことを危惧しています。
しかし、既存のマネタイズ手法である運用型広告やタイアップ広告、アフィリエイトだけでは、十分なマーケティング活動を実施するための原資を確保することが難しいのが現実です。そのため、新たな収益モデルの開発が不可欠であり、これを支えるための柔軟で持続可能なビジネスモデルの再構築が求められています。
国内外の媒体社が取り組むチャレンジを見聞きする限り、普遍的に応用可能な決定打はまだ存在していないように感じます。こうした状況の中で、自社の特性を活かした独自の挑戦を続けることが重要だと考えています。