2024年は、技術革新と規制対応が交錯し、業界全体に柔軟で戦略的な対応が求められた一年だったと言える。 こうした状況の中、株式会社フォーエムは、パートナーの皆さまとともに業界を盛り上げるべく、年末年始企画「Leaders’ Insights for Publishers」をスタートしました。本企画では、フォーエムと関わりのあるエグゼクティブの皆さまに寄稿を依頼し、それぞれの視点から2024年を振り返るとともに、2025年のさらなる成長を見据えた注力ポイントについてお話を伺った。本企画を通じて、当社は皆さまと一丸となり、業界の発展に貢献していく決意を新たにしています。
PubMaticにて、日本のカントリーマネージャーを務める粟飯原健氏の回答は以下のとおりだ。
プロフィール
株式会社電通入社。同テレビ局、カリフォルニア大学バークレー校経営大学院(社費留学)、デジタル・ビジネス局等を経て、2021年PubMatic入社。2024年3月よりカントリーマネージャー。直近ではカントリーマネージャーとして、円安などのマクロ環境の課題にも柔軟に対応しながら、注力領域の絞り込みと営業力強化など、無駄を排したメリハリのある事業戦略を推進し、着任後半年掛からずに業績を軌道に乗せることが出来ました。正しいことを正しく実行すれば、結果が出ることをチームが実感できたことが何よりの収穫だと思っています。
2024年に取り組まれた主な仕事やプロジェクトについて
日本支社設立10周年を迎えた今年は、年初から動画広告に注力しました。ご存じの通り、主要広告代理店のキャンペーンプランニングは、テレビを中心とした動画広告です。それらの代理店からの受注を増やすためにCTV/OTT, OLVなどのメディア在庫を増やしました。その結果、同領域で大きく成長することが出来ました。また、モバイルアプリを含むモバイル広告にも注力し、同領域でも飛躍的に数字が伸びました。2024年10月には PubMaticのOpenWrap SDKがAppLovin MAXの認定入札パートナーとなり、より多くのモバイルアプリパブリッシャーがアクセス可能となりました。
プロダクトでは、Activate(PubMatic在庫を、DSPを介さずに購入可能なプラットフォーム)を2月にローンチし、広告主、広告代理店への導入実績を作ることが出来ました。同時に我々はSSPではありますが、デマンド領域にも注力しており、大手広告主様との直接取引や新規広告主の獲得でも手ごたえのある成果を上げることが出来ました。どの領域も取引先のご理解・ご協力が無ければ実現できないことばかりなので大変感謝しています。
2024年のメディア業界で最も注目された出来事
2024年もオープンインターネットは、残念ながら苦戦しました。TTDとKantarが実施したオーディエンス調査によると、日本のオーディエンスがオープンインターネットに費やした時間は61%なのに対し、オープンインターネットにブランドが費やす広告費(APAC)は僅か21%という結果があります。本来であれば、メディアの視聴時間と広告費の比率は、同等の割合になるべきですが、現状はそうではありません。この理由のひとつは、ウォールドガーデンと広告会社との従来からの強い関係性があるからだと考えられます。
現在のメディアプランニングには、オーディエンス視点が欠如している場合があり、それが広告主やオーディエンス、さらにはプレミアムメディアにとって不利益をもたらしています。こうした状況を是正し、オーディエンスを中心に据えたメディアマーケティングへと早急に移行することが必要です。また、未だにオープンインターネットは危険だと刷り込まれ、思い込んでいるバイヤーが居ます。
2025年に向けての抱負や目標
昨年に引き続き、日本事業を更に成長させることがミッションです。そのためには、出来ることは躊躇なく全てやり切ります。特にメディアとの関係強化、ユニークな広告フォーマットや在庫の開発、ワンストップな広告運用など、取引先に信頼され、弊社と取引して良かったと思って頂けるように努力したいと思います。
社外では、やはりオープンインターネット広告の利用促進のための活動をアドテク企業の皆さんと協力して推進したいと思っています。皆様からのご指導・ご鞭撻を賜りながらアドテク業界発展のために微力ながら尽力致しますのでご高配賜れれば幸いです。