2024年は、技術革新と規制対応が交錯し、業界全体に柔軟で戦略的な対応が求められた一年だったと言える。こうした状況の中、株式会社フォーエムは、パートナーの皆さまとともに業界を盛り上げるべく、年末年始企画「Leaders’ Insights for Publishers」をスタートしました。本企画では、フォーエムと関わりのあるエグゼクティブの皆さまに寄稿を依頼し、それぞれの視点から2024年を振り返るとともに、2025年のさらなる成長を見据えた注力ポイントについてお話を伺った。本企画を通じて、当社は皆さまと一丸となり、業界の発展に貢献していく決意を新たにしています。
Outbrain Japanにて、パブリッシャー事業担当マネージングディレクター日本・韓国統括を務める益田敦司氏の回答は以下のとおりだ。
プロフィール
Outbrainにて、日本および韓国市場におけるパブリッシャー様向け事業の責任者をしています。新聞社や放送局、出版社やWebメディアといったオープンインターネットのパブリッシャー様に、弊社テクノロジーを活用したマネタイズとトラフィックグロースのご支援を行うとともに、最終的にはユーザーエンゲージメントの向上と優れたユーザーエクスペリエンスの提供をご支援することが部門のミッションです。
2018年のOutbrain入社以前は、Microsoft, AOL, グリー, medibaなどでも営業や事業開発、事業管理やプロダクトマーケ等の立場からネット広告に携わる仕事をしておりました。
2024年に取り組まれた主な仕事やプロジェクトについて
弊社ソリューションの領域をこれまでの「記事下ネイティブレコメンドのOutbrain」から、記事中などHigh Viewableなプレイスメントや、Attentionにも効くビデオやリッチフォーマットへと拡大を進めています。もちろん、これまでの記事下レコメンドをやめるわけではないのですが、弊社のコアである予測テクノロジーをご利用いただく選択肢をプレイスメントとフォーマットの両軸で増やしていくことで、デマンド/サプライ双方のお客様からの要望や市場トレンドの変化にお応えしていきたいと思っています。
2024年のメディア業界で最も注目された出来事
昨年の衆院選、米大統領選、兵庫県知事選と続いた、いわゆる「SNS選挙」です。大前提として有権者の選択は尊重されるべきですし、ネットの力が民主主義の成熟に寄与することは喜ばしいことです。しかし、ときにフェイクニュースまがいの投稿が黙認され、むしろシェアされ、結果として政策議論の希薄化やポピュリズムの横行、さらには社会の分断までもが引き起こされたことには驚きと危機感を禁じえませんでした。
広告ビジネスを云々する前に、1ユーザとしてネットがよい世界であってほしいと強く思っています。そのためには、現在のような一部のメガプラットフォーマーが自浄作用無く寡占する世界よりは、異なる立場や価値観をもつ多くのパブリッシャーが存在しつづけられる環境がやはり必要です。弊社自身はパブリッシャーではありませんが、技術と経済の力でオープンインターネットメディアをご支援していくことの重要性を改めて痛感いたしました。
2025年に向けての抱負や目標
まずは昨年8月に発表したTeads社様との合併を楽しみにしています。両社はオープンインターネットを主戦場に、デマンド/サプライ双方のお客様にソリューションを提供してきたという共通点がありますが、一方で得意とする市場や顧客は異なり、とても補完的な関係にあります。この合併を通じて、広告主様にはブランド認知から購買に至るまでのフルファネルをカバーし、最適化するソリューションのご提供が可能になります。またその進化により、パブリッシャー様のマネタイズをこれまで以上に強力にご支援できると考えています。昨年から続けているプレイスメントやフォーマットの多様化、そして年末に発表した縦型動画ソリューション「Moments」の開発も、この合併後を見据えたものです。オープンインターネットの側に立って、メガプラットフォームとは違う選択肢となりたい。
そしてもうひとつ、合併によりTeads社の皆様とワンチームになり、それぞれの知識や経験を学び合うことも今年の大きなチャレンジです。アドテクノロジーも提供するのは人ですから、新たな仲間やチームと共に仕事ができることが個人的には一番の楽しみかもしれません(笑)。