「マイクロペイメントがマニラ・タイムズのウェブサイトで成功していることに非常に興奮しています。Fewcent社から提供されたデータは、ユーザーがどのコンテンツにお金を支払いたいと考えているかを理解するのに役立ち、私たちのサブスクリプションビジネスの拡大に寄与しました。」
– マニラ・タイムズ、会長兼CEO Dante “Klink” Ang 2nd
1. 背景
マニラ・タイムズは1898年に創業された高い評判を持つ英語日刊紙で、フィリピンのメディア産業において重要な存在です。創刊以来、市場の変化に柔軟に対応し、現在では印刷版とデジタル版を提供しながら様々なトピックを取り扱っています。
マニラ・タイムズのウェブサイトは主に広告収益に依存していますが、半年以上前の記事を閲覧するには有料会員登録が必要です。
これに対し、広告と有料コンテンツのバランスを取るための解決策を模索していました。
既存の広告収益を維持しながら、有料コンテンツによる読者からの収益を増やそうと考えたのです。
また、読者がこれらのコンテンツに対して課金するかどうかについても疑問を抱いており、検証をしたいと考えていました。
2. Fewcentsによる支援内容
マニラ・タイムズは以下の3つのコンテンツにFewcentsのペイウォールを実装しました。Fewcentsのペイウォールの実装は簡単でした。
1. 過去のコンテンツの再活用
半年以上前のコンテンツに対して、Fewcents のペイウォールを導入しました。読者に対して各記事ごとに課金を行うか、あるいは有料会員登録するかの2つの選択肢を提供しました。これは、特定のコンテンツに興味を持つ読者を対象にして、各記事ごとの課金の効果をテストし、広告収益に対する影響を測定するためのリスクの低い検証方法でした。
2. 「Opinion」カテゴリの有料化
「Opinion」カテゴリでFewcentsのペイウォールを導入し、ユーザーの購入パターンとそのコンテンツの価値を評価する検証を行いました。
3. モバイル版における課金
マニラ・タイムズは、モバイルからの有料会員登録が少なかったため、モバイル版においても各記事ごとの課金を積極的に導入しました。
ユーザーエクスペリエンス
ログインが簡単な点や複数の決済手段が利用可能である点からユーザーが関心のあるコンテンツを簡単に購入することを実現しました。
3. 結果
マニラ・タイムズはFewcents のペイウォールを導入することで、想定を上回る成果を得ました。
広告収益への影響
ペイウォールを導入後についても、コンテンツは以前の広告RPMを維持し続けました。記事を有料化しても広告収入への悪影響はありませんでした。
購読者数の増加
Fewcentsの導入により、有料会員登録がおおよそ2倍に増加しました。これにより、記事ごとの課金を導入することでユーザーがより良い意思決定を行えるようになりました。
収益の増加
個別の記事に対するユーザーの積極的な支払いにより、Fewcents のペイウォールは増分収益を生み出しました。Fewcentsを経由する有料ユーザーはサブスクリプションの5倍であり、これにより広告収益に増分の利益が加わりました。結果として、ペイウォールの対象範囲が拡大し、1か月以上前のコンテンツも対象となるようになりました。
顧客データの獲得
現在、マニラ・タイムズが保有している顧客データの57%はFewcent経由となっています。それ以外の入手方法としては、ニュースレターの登録と定期購読があります。
分析による高品質コンテンツの特定
コンテンツのコンバージョンに関するデータは、編集方針や価格戦略を効果的に策定するために十分な洞察となっています。
モバイル版でのコンバージョンの向上
モバイルウェブ上でFewcentsの視認性を検証した結果、トランザクションレートが2.8倍に増加しました。
4. まとめ
マニラ・タイムズがFewcentsと提携することで、フィリピン人がデジタルコンテンツに対してお金を支払わないという常識を覆すことに成功しました。
この結果から明らかになったのは、読者は選択肢を与えられると質の高いコンテンツに積極的に投資する傾向にあることです。
個々のコンテンツへの支払いはサブスクリプションの増加に寄与し、多くの顧客データの獲得につながります。また、このパートナーシップは有料コンテンツモデルを採用しながら従来の広告収益を維持することができることを証明しています。
そのため、過去のコンテンツの再活用戦略は、パブリッシャーが有料コンテンツから収益を得るための手段の一つとして有用であることが分かります。
今回の成功から、マニラ・タイムズはより収益を拡大するために多くのカテゴリーでFewcents のペイウォールを導入しています。そして、得られた顧客データなどを活用しながらユーザーとの直接的な関係を構築し、サブスクリプション戦略の拡大を狙っています。
現在はコンバージョンをより一層増やすため、Fewcentsのスポンサーシップも検討しています。