いよいよ、IDFA取得のオプトインが始まり、IDFAに依存しない計測体制が求められるようになりますね。(執筆時点で、2021/03~で実施と予想されています。)
IDFAレス時代のiOSエコシステムで、IDFAの変わりの中心になると予想されているのが、Appleが用意しているSKAdNetworkによる計測です。
この記事では、SKAdNetworkの概要をIDFAとの違いから解説しながら、広告をアプリ内で表示して収益を受け取るアプリ開発者がiOS14.5以降で対応すべき内容を解説していきます。
また、IDFAオプトイン化に関する他の記事も公開予定ですので、こちらからご覧ください!
それでは、始めましょう!
1.iOS14からIDFAオプトイン化
2020/06のWWDC 2020から1年近く話題に上がり続けている、IDFAオプトイン化(アプリやSDKがIDFAを使用する際に、ユーザーの同意が必要となる変更)が、iOS14.5からいよいよスタートします。
これまで、iOSでは、アプリインストール広告の効果測定やアプリ内で表示された広告の成果を計測するために、IDFA(IDentifier For Advertisor、広告識別子)という端末ごとに割り当てられた広告用のIDを使っていました。
ユーザーの同意無しでIDFAを広告主やアドネットワーク、MMP(計測ツール)が使用できていました。
IDFAを提供したくないユーザーは、iPhoneの設定からIDFA提供をオフにすることができましたが、デフォルトは「提供する」状態でした。
今回の変更は、デフォルトが「提供しない」状態になるというものです。そして、ユーザーが同意した場合に限り、第三者がIDFAを取得できるようになります。
iOS 14 – Apple(日本)(https://www.apple.com/jp/ios/ios-14/)より
現在、多くのユーザーがIDFA提供をしないと予想されており、IDFAに基づいているこれまでのやり方では広告効果を測れなくなってしまいます。
そこで、Appleが提供するのがSKAdNetworkです。
SKAdNetworkは、IDFAよりもプライバシーを尊重した形の計測方式になっています。
2. IDFAに代る新しい計測方法SKAdNetwork
IDFAとSKAdNetworkの抑えておくべき最大の違いは、3つです。
1. 取得できるデータから個人を識別することが不可能になる
2. 取得できるデータの種類とタイミングが制限され、取得する内容は広告主・MMPが決定する
3. ポストバックがAppleから直接アドネットワークに飛ぶ
また、SKAdNetworkの使用にあたって、アプリ開発者が知っておくべきことは2つです。
1. SKAdNetworkは、IDFAに比べて不完全な計測方法なので広告主はiOSアプリに表示する広告に高い値段を出しにくくなり、アプリ開発者の収益が減る(eCPMの平均値が下がる)
2. SKAdNetworkは、Appleが開発したもので、各アドネットワークに割り当てられているIDに基づいて計測・結果通知を行う
これらのポイントについて、SKAdNetworkの仕様を確認しながら、どうしてそうなるのかを確認していきましょう。
SKAdNetworkはプライバシー保護を重視した計測方法であり、取得できるデータに制限がかかります。そのため、広告主や代理店が意思決定に使用できるデータの量・質が低下します。
計測できる内容自体も不透明な部分が残っているために、広告出稿にあたっての不安が残っており、iOSへの広告予算が減ることが予想されています。
これにより、アプリ開発者が受け取るアプリ収益が減るのではないかというリスクがあります。
なぜ、取得できるデータが減少すると収益が減ってしまうのでしょうか。
それは、広告効果がブラックボックス化してしまい、お金を払っている広告主から見えなくなるためです。
これまでは、IDFAに紐付いてユーザーデータに基づいたターゲティングがされていました。
これにより、「インストールしそうな人には高い値段(eCPM)で広告(インプレッション)を買い付ける」ということがされていました。
しかし、SKAdNetworkはプライバシー保護を重視した計測方式であり、ターゲティングに使っていた情報を使用できなくなります。
なので、高い値段をつけてでもインプレッションを買い付ける事例が大きく減ると予想されています。
高い値段が減る→平均eCPMが下がる→→収益が減る
という順に収益が下がってしまうのです。
それ以外にも、
・そもそもの広告効果が見えなくなる
・ROI, LTV, ROAS計測ができなくなる
などの影響により、そもそもの広告出稿量が減ることでの収益低下も同時に起こると予想されています。
以上が、IDFAが使用できなくなることで収益が下がるとされている理由です。
ここまでで解説してきたように、IDFAならびにSKAdNetworkはどちらも広告主が使用するものです。
また、Appleが作成し提供する仕組み(SKAdNetwork API)であるため、個々のアプリでSKAdNetworkを開発する必要はありません。
ただ、SKAdNetworkはアプリ内で表示された広告の効果を計測する仕組みであるため、アプリ内で表示される広告がどのアドネットワークから表示されるのかの登録が必要です。
このアドネットワークの登録が、アプリ開発者が自分のアプリの中で対応すべきことになります。
3. SKAdNetworkとアプリ開発者がすべきこと
SKAdNetworkエコシステムでは、各アドネットワークにSKAdNetwork ID(SKAdNetwork identifier)が割り当てられています。
このIDに基づいて、Appleがどのアドネットワークから表示された広告かを識別し、各アドネットワークに成果をポストバックします。
Appleは、各アプリで表示された広告とその配信元であるアドネットワークをSKAdNetwork IDの形で保持します。そして、広告主が定義したタイミングでSKAdNetworkをアドネットワークにポストバックします。
この際、SKAdNetwork IDが広告表示時に追加されていないと、ポストバックを行うことができず、アドネットワークが成果を受け取れません。
そうなると、アドネットワークから見ると「広告いくら出しても成果がでない」アプリだとみなされてしまいます。そうなると、広告枠価値が下がってしまい、eCPMの低下につながってしまいます。
IDFAからSKAdNetworkに切り替わるだけで、収益下がってしまう上に、SKAdNetworkを正しく対応できていないと更に収益が下がってしまいます。
正しく準備して、SKAdNetwork時代に臨みましょう。
SKAdNetworkの対応方法は、簡単です。
というのも、SKAdNetwork の仕組みはAppleが作ってくれているので、開発などはいらないからです。
対応すべきなのは、たった1つ
アプリで使用しているアドネットワークのSKAdNetwork IDをInfo.plistに記述する
だけです。
各アドネットワークが自社のSKAdNetwork IDは公開していますので、そちらを記述してください。
また、MoPubやUnity Adsなどのアドエクスチェンジは、複数のアドネットワークと紐づいているため、SKAdNetworkが複数ある場合があります。その全てをInfo.plistに追加する必要があります。
記述方法については、以下のリンクをご参照くださいませ。
Prepare for iOS 14+ | Google Developersdevelopers.google.com
メディエーションやOpen Biddingなどで複数のアドネットワークをお使いの場合には、String部分に各SKAdNetwork IDを複数記述してください。
また、多くのSDKではSKAdNetworkに対応しているのが最新版のみになっています。
SKAdNetworkへの対応を機に、SDKもアップデートしてしまいましょう。
3-1. 参考リンク
・Apple Developers:
https://developer.apple.com/documentation/bundleresources/information_property_list/skadnetworkitems/skadnetworkidentifier
・アドジェネレーション ヘルプ(「SKAdNetworkID 一覧」):
https://ad-generation.jp/support/adg-help/Implementation-guide/skadnetworkid
・Google Developers Guide「iOS 14以降に備える」:
https://developers.google.com/admob/ios/ios14?hl=ja
・MoPub SKAdNetwork IDs Manager:
https://developers.mopub.com/publishers/skadnetwork-ids-manager
4. まとめ
・IDFAについて不安が大きい
・SKAdNetworkの仕組みがやっぱりわからない
・SKAdNetwork IDの記述があっているか不安
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