- 1.はじめに:マイクロペイメントの概要と重要性
- 2.活用事例
- 2-1.文春オンラインにおける活用事例
- 2-2.ガーディアンにおける活用事例
- 2-3.フットボール批評オンライン/株式会社カンゼンにおける活用事例
- 2-4.Historiaにおける活用事例
- 3.おわりに
1. 多様な業界にインパクトを与えるマイクロペイメント
マイクロペイメントは、小額のデジタル決済を指し、デジタルコンテンツやサービスの購入に用いられます。この決済方法は、多様な業界で革新的なビジネスモデルの導入を可能にしています。
2. マイクロペイメントの活用事例4選
マイクロペイメントには様々な手法があり、その中には「寄付プラン」や記事ごとに課金を行う「有料記事コンテンツ」などがあります。
2-1.【Webメディア】文春オンラインにおける活用事例
参考URL: https://bunshun.jp/articles/-/65547
週刊文春は2023年8月6日から「寄付プラン」を始めました。このプランは大きな反響を呼び、開始後わずか3週間で270万1006円の寄付を集めました。週刊文春は、寄付金を取材費用に充てるとしており、リモート取材に頼らず、時間とコストをかけた徹底的な取材を行うことの重要性を強調しています。「週刊文春 電子版」では寄付プランとともに、今後「法人プラン」にも本格着手するようです。
週刊文春が寄付プランの参考にしたのは、約200年の歴史があるイギリスの大手メディア「ガーディアン」です。「ガーディアン」の寄付プランに関しては下記で紹介しております。
2-2.【Webメディア】ガーディアンにおける活用事例
参考URL:
https://www.thedrum.com/news/2021/07/27/the-guardian-sees-huge-61-increase-digital-reader-revenuehttps://espeo.eu/blog/micropayments-in-fintech/
ガーディアン紙は、ハードペイウォール(全てのコンテンツに料金が必要なシステム)を設置せず、寄付ベースの会員制を採用しました。この戦略とコスト削減により、デジタルサブスクリプションと繰り返しの寄付は33%増加し、一回限りの寄付は83%増加しました。これらの収益モデルにより、前年度の1460万ポンドの営業損失から310万ポンドの営業利益を達成し、20年ぶりに黒字化を達成しました。
2-3.【Webメディア】フットボール批評オンライン/株式会社カンゼンにおける活用事例
参考URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000062.000057667.html
「フットボール批評」では、Web上で雑誌と同様の高品質なコンテンツの配信を実現するために、既存の広告収益モデルに加え、さらなるマネタイズの手法を模索していました。
サブスクリプションモデルの導入を検討しましたが、日本国内ではWebメディアの成功事例が少なく、「追加の課金をしてまで、高品質なコンテンツを読みたい」というユーザーがどれだけ存在しているかというニーズが不透明であり、ユーザーの離脱も懸念される課金モデルに投資を行うことに対して懸念を抱いていました。
この課題を解決するため、広告マネタイズ以外にも幅広い領域でパブリッシャーの支援を行ってきた株式会社カンゼンは、「フットボール批評オンライン」の高いコンテンツ力とマイクロペイメントサービスを活用し、記事ごとに課金を行う有料記事コンテンツの導入を提案し、試験導入を開始しました。
少数の有料記事コンテンツ提供から開始し、徐々にコンテンツの増加を図りました。
広告表示と有料記事コンテンツの提供によって、ユーザーが離脱する可能性も懸念されましたが、複数の異なる記事に対する適正な価格設定を検証し続けたことで、結果的にセッション数の大きな減少はなく、有料記事コンテンツのPV単価は、広告マネタイズのPV単価よりも3.5倍程度高い結果となりました。
2-4.【Webメディア】Historiaにおける活用事例
インドネシアの老舗会社でありオンライン歴史雑誌であるHistoriaは、マイクロペイメントの導入により、多くの課題に対処しました。
元々、独自の記事ごとの支払いソリューションに関連する問題、例えば低い転換率、トラフィックの低下、技術開発と維持のための高い労力、管理能力の限界などに直面していました。
しかしマイクロペイメント導入により、これらの課題を解消し、取引量が80倍、収入が22倍に増加し、ユーザーエンゲージメントが向上しました。
さらに、技術チームへの依存が減少し、プレミアムコンテンツの生産が増加するなど、多大な効果をもたらしました。
3. おわりに
これらの事例から、マイクロペイメントがWebメディアにおいても効果的であることがうかがえます。
また、マイクロペイメントの導入は新しいビジネスモデルの創出や消費者体験の向上に大きく貢献しており、今後もさらなる進化が期待されます。