入社して2週間が経ちましたが、専門用語が多くインプットに苦労する日々です…。アドテク業界の用語を理解するためにも、アドテクの歴史を勉強し、この記事にまとめてみました!
1. はじめに
まず、広告主とメディアの立場を最初に理解するとわかりやすくなります。
まず、広告主側はできるだけ安く、効率よく配信したいと考えています。ここでいう効果とは、より商品に興味を持つ多くのユーザーに見てもらい、クリックしてもらい、購入してもらうことです。
逆にメディア側は、できるだけ高く広告枠を買ってもらうことで収益性を高めたいと考えています。
1-1. アドテクノロジーとは?
そもそもアドテクノロジーとは、広告配信の効率を上げるためのインターネット広告に関するシステムのことです。
このアドテクノロジーは広告主とメディアの広告収益を最大化することができます。広告の配信管理や分析を行うことで、ユーザーに合う広告を複数のメディアに自動的に表示することが可能になり、広告主とメディアは以前よりも低コストで高い効果を得られるようになりました。
2.純広告の時代
一番はじめに世界ではじまったインターネット広告は、1994年のAT&Tによるバナー広告です。
具体的には、WIREDのデジタル版であるHotWiredに「保証期間1ヶ月、料金1万円」という条件で1広告主 TO 1媒体 の現在の『純広告』のモデルでした。
広告主とメディアが直接、配信期間や金額などを決め、クリエイティブをwebサイトに直接貼り付けて配信する、いわゆる手売りの販売方法でした。
ただ、純広告には、広告主側もメディア側も工数がかかってしまうという問題点がありました。
広告主側は、自分達の商品やサービスに興味を持ってくれそうなユーザーを抱えているメディアに直接声をかけにいくため、メディアを探す工数や、バナーの差し替え、配信の時間帯切り分けなど時間がかかってしまいます。さらに、純広告は価格が高いため、工数を割いて高い料金を支払わなければならない状態でした。
メディア側も在庫を自分で管理しなければならず、予定配信や配信切り分けやレポート集計など全てを実践しないといけません。在庫管理が大変で、広告主に対する営業をかけていかなければならず、メディア業に集中する時間を持つことができないのです。
3. 成果報酬型広告の時代
1996年にはAmazonによってアフィリエイト広告が開始され、クリック報酬型の広告モデルが誕生しました。成果報酬型の広告とは、複数媒体と複数でユーザーがクリックまたはコンバージョンした場合に収益が発生する成果報酬・クリック報酬型の広告モデルのことです。
記事を書いている人が、商品やサービスをおすすめしていて、ユーザーがその記事を読んだことで記事をクリックし購入に至ったら、その利益の一部が、記事を書いたアフィリエイターに振り込まれる仕組みです。
4. ネットワーク広告の時代
先ほどお伝えしたように、純広告は、誰によってどのように広告が出されているのか、広告主からは見えず、広告主もメディアも工数が増えてしまっていた状態でした。
そのような背景の中、ネットワーク広告の時代が始まります。
アドネットワークとは、簡単にいうと複数媒体の広告枠を束ねて販売し、広告をまとめて配信する仕組みです。
<メリット>
・広告主側:いろんな媒体社に広告掲載できる
・媒体側:アドネットワークさえ導入すれば色々な広告主から掲載を受けられる
特徴としては、媒体のページを買い付ける手法となっており、媒体のカテゴリやコンテンツ内容にターゲティングすることで買い付けを行なっています。
次に出てくるリアルタイムビッティングと異なる点として、ユーザーではなくページを買い付けるので、ターゲティング精度としては落ちてしまいます。
RTBがなくターゲティングしていない状態です。広告の収益としてはクリック課金のモデルとなっています。
2大アドネットワークにはGDNとYDA(旧ADN)があります。
ただ、アドネットワークの問題点として、広告主側はどの広告枠に配信されているか分からず、枠によってみられる頻度やクリックされやすさは変わるはずなのに、価格が同じであることに問題意識が出てきました。メディア側でも、広告を選べないのでメディアのブランド毀損の可能性や、純広告と比べて価格が下がってしまう課題がありました。
5.RTB(リアルタイムビッティング)の時代
リアルタイムビッティングとは、ユーザー情報を元に入札競争をし、広告枠をリアルタイムで買い付けるオークションの仕組みです。
媒体社側が持っているユーザー情報を広告主が欲しいと思ったら買付する、リアルタイム買付けのせりのような状態です。
2008年といえば、リーマンショックが起こった時代ですよね。リーマンショックが起きたことで、リーマンブラザーズという株式市場を作り上げてきたエンジニアが大量に解雇されました。そこで、これまで株の売買の仕組みを作ってきた解雇されたエンジニアがユーザーをターゲティングする仕組みを開発しました。リアルタイムに売買を行うRTB(リアルタイムビッティング)に仕組みを開発しました。
具体的には、DSP(デマンドサイドプラットフォーム)が、広告主が枠やユーザーをいくらで欲しいのか知っていて、SSP(サプライサイドプラットフォーム)がユーザー情報を持っています。SSPのユーザー情報を見て、最も高価で買付できたDSPが勝利します。そのDSPと繋がっている広告主を配信することで広告が流れる仕組みになっています。
この流れを一瞬で行い、我々の目に広告が流れる仕組みになっています。
RTBを用いたことで、ユーザー情報をターゲティングすることができるようになり、クリックされる可能性が高まるので、メディアの収益性が高まりました。
6.アド ベリフィケーションの時代
RTBの登場によって、広告主とメディアは手間をかけることなく、自由に取引できるようになりました。一方で、アドフラウド(デジタル広告で発生する広告詐欺や不正広告)が問題に上がるようになりました。
広告主側からすると自社の商品が違法コンテンツを掲載しているwebサイトに配信されてしまったり、メディア側からすると自社のwebサイトに不適切なクリエイティブが配信されてしまったりと、それぞれのブランドを毀損してしまうリスクが発生します。
このような背景において、インターネット広告業界全体として、アドフラウドを除外したり、ブランドセーフティを守っていこうという潮流ができてきました。
6-1. アド ベリフィケーションツール4選
アド ベリフィケーションとは、簡単に説明すると広告を検証することです。広告主のイメージ低下に繋がるような広告を排除するための配信コントロールツールのことです。
以下3つが検証される項目です!
・アドフラウド(機械による不正な閲覧やクリック)
・ビューアビリティ(視認可能性)
・ブランドセーフティ(ブランド毀損防止)
これらの問題を解決するためにアド ベリフィケーションツールを活用するのが良いでしょう。
<アド ベリフィケーションツール4選!>
・IAS
・Momentum
・Spider Labs
・日本オラクル
6-2. PMP(Private Market Place)の登場
不適切な配信面や不適切なクリエイティブを制御するべく、2015年ごろから日本市場でPMPがじわじわと広まっていきました。
PMPとは、Private Market Placeの略で、広告主とメディアが直接プログラマティックに取引をすることです。DSP-SSP間でオークションを行うものの、そこに参加できるメディアと広告主が限定されるので、双方にとって透明性が担保されています。
7. ユーザーファーストの時代
広告主とメディアのブランドを保護するアドベリフィケーションの潮流と並行して、メディアに訪問するユーザーの体験や個人情を重要視する流れが起こっています。
7-1. Core Web Vitalsの発表によるUX重視のトレンド
Googleは2021年にWebサイト全体におけるユーザー体験(UX)の向上が重要であることを発表しましたが、「Core Web Vitals」とは「Webサイトの健全性を示す指標」として重視されている指標です。Core Web Vitalsは検索結果にも影響を与えると言われているので、SEOの対策としてキャッチアップする必要がありますね。
<「Core Web Vitals」には以下の3つが含まれます!>
・LCP:メインコンテンツが全て表示されるまでの時間
・FID:ユーザーがサイトを操作した時に、ブラウザーが班のするまでに要した時間
・CLS:サイトのレイアウトサイズのズレの大きさをチェックする
7-2. 改正個人情報保護法とCMP
リクルートの内定辞退率の提供サービスをめぐって、日本でもユーザーの個人情報保護が問題視されるようになりました。2022年4月に施行された改正個人情報保護法において、提供先において個人データとなることが想定される情報(個人関連情報)の第三者提供先で他のデータと結びつくことで、個人情報となることが想定される場合、事前にそのユーザーの許諾を得ることが必須となりました。(CMPの導入検討)
7-3. IDソリューション
また、改正個人情報保護法の施行およびGDPRやCCPAなど個人データにまつわる法改正によって、プラットフォームも個人データの保護を行う必要があり、2023年にはChromeの3rd Party Cookie段階的廃止も始まる予定です。3rd Party Cookieが廃止されることによって、広告主にとってはターゲティング精度が低下するリスクが、メディアにとってはCPMの低下が想定できます。
そのような背景の中で、共通IDソリューションという新しい技術への期待が高まっています。
8. おわりに
本記事ではアドテクノロジーの歴史を解説していきました!いかがでしたか?
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