1. ATTとは？
ATT（App Tracking Transparency）はAppleにより導入された機能で、ユーザーに対してアプリが広告トラッキングを行う際に、その許可を得る必要がある仕組みです。
これにより、アプリがユーザーのデバイス広告識別子（IDFA）を使用し、トラッキング情報を収集する前にユーザーが許可を与えるかどうかを確認できます。
1-1. eCPMの意味
eCPM（Effective Cost Per Mille）は、広告枠の単価を示しています。
具体的には、1000回の広告表示におけるパブリッシャーへの収益性を示しており、この指標は、広告の効果や収益性を評価するのに役立ちます。
広告収益＝表示回数×eCPM÷1000
となり、eCPMが高いほど広告収益が高くなります。
1-2. 画一化された広告とパーソナライズされた広告の違い
画一化された広告とは、ユーザーの個々の興味や行動に基づかない一般的な広告を指します。
これは大まかなターゲット設定に基づくため、幅広い層に同じ広告が流れます。
対して、パーソナライズされた広告は、ユーザーの過去の行動データなどを分析し、個人に合った内容を提供することができるためより関心を引くことが可能です。
しかし、ATT政策の強化によりパーソナライズされた広告の提供が困難になりました。
そのため、パブリッシャーはユーザーの個別の許可を取得する工夫をすることが重要となります。
2. ユーザーのトラッキング制限がもたらす変化
AppleのATT導入により、従来のデータ収集が困難になり、広告主と広告ネットワークは大きな課題に直面しています。
ATTを承認している場合はユーザーに合わせた広告を掲載できるためeCPMは高くなり、ATTを拒否している場合はトラッキングができないためeCPMは低くなります。
そのため、ATT許諾率の低さは、広告を主要収益源とするパブリッシャーにとって、収益減を意味します。
そのため、広告収益の最大化に向けてATT承認率を高めるための対策を取る必要があり、具体的には事前ダイアログの表示などが挙げられます。
最終的には、ATT許諾率の向上による広告の質の向上が、収益性を保ち続けるための鍵になるでしょう。
3. パブリッシャーの取り組み
ATTの規制強化に対応するため、広告主はトランスペアレントな方法でユーザーの同意を得ることが重要です。
また、プラットフォーム側では、ユーザーデータを使わないプライバシーセーフな広告技術の開発に力を入れています。技術的な進歩により、例えばエッジコンピューティングを利用し、データをデバイス上で処理することで個人情報漏洩のリスクを減らしつつターゲティング能力を維持することが期待されています。
このような取り組みにより、収益性とプライバシー保護のバランスをとった広告配信が可能になり、eCPMの安定化に寄与することが予測されます。
4. まとめ
デジタル広告の未来においては、柔軟な対応力と革新的な視点が不可欠です。
本記事の内容を踏まえ、パブリッシャーは、プライバシー保護と効果的な広告配信のバランスを見つけるための施策を考えましょう。
eCPMの安定化と広告収益の最大化を目指し、今後のデジタル広告の発展に向けた一歩を踏み出しましょう。
