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「マイクロペイメント」とは?Webメディア収益化の次なる一手をご紹介

2022年は、広告業界において圧倒的な地位を保ってきたGoogleとMetaの収益が大幅に減少した年となりました。これは主に、IDFAやCookieの制限による影響が大きかったと言えます。一方、AppleやAmazonといったプレイヤーがその影響を巧みに利用し、広告業界におけるプレゼンスを高め、世界的なゲームチェンジが起きる年となりました。

このような目まぐるしい環境の変化の中で、パブリッシャーが収益を確保し、成長を続けていくためには広告マネタイズ以外の収益軸を構築しなければなりません。

しかし、有料記事の掲載やサブスクリプションの導入は、単にシステムを導入するだけでなく、記事の選定やUXの維持という側面を含めたビジネスモデルの全体的な変更を必要とします。これらは新たなビジネスの展開に向けた技術的な挑戦を伴うこととなるでしょう。

そのような課題を解決する手段として注目されるのが、記事の閲覧やデジタルコンテンツの利用といったサービスに対する少額からの支払いを可能にする「マイクロペイメント」です。

そこで本記事ではマイクロペイメントの概要と活用方法を紹介いたします。

記事の有料化やサブスクリプションの導入を考えているが、その心理、精神的、組織的、事業的なハードルに直面し、挑戦に踏み込めない担当者の方々は、ぜひ最後までご覧ください。







  1. 1.デジタル広告をめぐる環境の変化
  2. 2.マイクロペイメントとは
  3. 3.日本国内のパブリッシャーが抱える課題
  4. 4.解決策としてのマイクロペイメントを活用したペイウォールの導入
  5. 5.フォーエムが提供するサービス

1.デジタル広告をめぐる環境の変化

総務省のデータによると日本におけるデジタル系コンテンツの市場は、8.5兆円*1 と言われています。そのなかでもオンラインコンテンツの市場は4.5兆円にのぼると推測されていますが、この数字はコンテンツのDX化が進むにつれてさらに伸びることが予想されます。

その一方で、アメリカやヨーロッパでは、個人情報保護の高まりと大手プラットフォームへの法規制のなかで、GoogleやMetaといったプレイヤーが大幅に収益を落としています。こうしたマクロ環境の変化も影響し、アメリカ国内では大手メディアの脱広告収益依存が進み、サブスクリプションモデルを導入するパブリッシャーが増加しています。

代表的な成功事例としては、”The New York Times”と”The Washington Post”が挙げられます。両社は、オンライン記事の無料提供を制限し、プレミアムなコンテンツには有料での閲覧を要求しました。この戦略の結果、有料コンテンツからの収益を大幅に増加させることに成功しています。

<The Washington Post 広告の上部にはサブスク利用者のログインリンクが存在する>

<The Washington Post 広告の上部にはサブスク利用者のログインリンクが存在する>

このようなサブスクリプションを導入する上で必須となるのがペイウォールです。ペイウォールとは、ウェブサイトやデジタルメディア上のコンテンツへのアクセスを制限し、有料のサブスクリプションまたは支払いを要求する仕組みです。ペイウォールを導入することにより、一部または全てのコンテンツが有料となり、ユーザーはコンテンツにアクセスするために料金を支払う必要があります。

ペイウォールにはほとんどのコンテンツが有料となるハードペイウォールと、一部のコンテンツを無料化し一定の閲覧回数や制限時間を超えると有料となるソフトペイウォールが存在しますが、どちらの形式で導入したとしても、パブリッシャーにとっては収益源を確保する手段となります。その一方で、ユーザーにとっては特定のコンテンツに制限があるため、アクセスの制約や料金負担となることがあります。そこで注目されるのがマイクロペイメントです。

2. マイクロペイメントとは

マイクロペイメントとは、インターネット上で提供されるサービスやデジタルコンテンツの少額の決済を指す言葉です。例えば、お気に入りの記事を数十円で購読するといった形です。これまでの支払い方法では高い手数料や煩雑な手続きが必要であったため、少額の支払い額に釣り合わないコストが発生するという課題が存在しました。しかし、マイクロペイメント技術の登場により、効率的に少額決済を行うことが可能になりました。

今日、マイクロペイメントはインターネット上でのデジタルコンテンツやサービスへのアクセス、記事やブログの購読、音楽や映画のストリーミング、ゲーム内アイテムの購入などさまざまな場面で利用されています。

特に、Webメディアにおいては、マイクロペイメントを利用したペイウォールを導入することにより以下のようなメリットを享受することができます。

  1. 小額のコンテンツへのアクセス: ユーザーは支払いのための高いハードルを超えることなく、記事やコンテンツにアクセスすることができます。これにより、ユーザーエンゲージメントの向上や壁付きコンテンツの解除など、新たな収益機会が生まれます。
  2. ユーザーエンゲージメントの増加: マイクロペイメントは、ウェブメディアへの支援や評価を示す手段としても機能します。ユーザーは、コンテンツ提供者に対して好意的な評価や支援として小額の支払いを行うことができます。これにより、コンテンツパブリッシャーとユーザーとの関係が深まり、ユーザーエンゲージメントが増加する可能性があります。
  3. 収益多様化: 広告収益だけに頼らず、マイクロペイメントを導入することにより、ウェブメディアは収益の多様化を図ることができます。ユーザーからの小額の支払いや購読料、プレミアムコンテンツへのアクセスなど、さまざまな収益モデルを組み合わせることができます。
  4. コンテンツ品質の向上: マイクロペイメントは、コンテンツプロバイダーにとっての報酬やインセンティブとなります。そのため、より質の高いコンテンツの提供や新たなコンテンツの創造を促すことができます

ただし、マイクロペイメントを導入する際には、ユーザーにとっての使い勝手や利便性、セキュリティの確保などを考慮する必要があります。また、広範なユーザーベースを獲得するためには、マイクロペイメントを導入するプラットフォームやサービスの普及度やユーザーの認知度も重要な要素となります。

3. 日本国内のパブリッシャーが抱える課題

世界的なデジタル広告をめぐる環境の変化は、当然日本国内のパブリッシャーにも大きな影響を与えています。日本のパブリッシャーの多くが言語の壁やプラットフォーマーの方針によって、欧米のように最新のテクノロジーに対応することが難しい環境に置かれており、プラットフォーマーへの依存度が高くなりがちです。

また上述のように、世界的な法規制の拡大による広告収益の減少に加え、一般ユーザーへの広告ブロッカーの普及などにより、パブリッシャーの収益の確保は厳しくなっています。そこで、広告モデル以外の収益モデルを見つける必要がありますが、日本においてはWebメディアのサブスクリプションの導入が欧米ほど進んでおらず、多くのパブリッシャーが新たな収益化モデルを模索中という状況です。

日本でサブスクリプションモデルが浸透しない背景としては、そもそもデジタルコンテンツへの移行が欧米に比べると進んでいないこともありますが、どんな記事が売れるのかわからないままサブスクリプションモデルに切り替えることには大きなリスクが存在することが挙げられます。

また、サブスクリプションモデルを成功させるには利便性やユーザーエクスペリエンスの向上が不可欠ですが、日本のメディア市場は競争が激しく、類似のコンテンツやサービスが多数存在するため、競合との差別化を図り、価格に見合う価値を提供することが難しい状態となっています。

4. 解決策としてのマイクロペイメントを活用したペイウォールの導入

以上のような課題を解決する手段として考えられるのがマイクロペイメントです。

マイクロペイメントを活用することで、少額からのペイウォールを実装することが可能になります。記事の有料化やサブスクリプションの導入にあたっては、どのようなコンテンツであればユーザーが料金を支払ってでも読みたいと思うのかを事前にリサーチすることが非常に重要です。

しかし、実際に有料の記事を導入してその効果を検証してみなければ、コンテンツを選ぶ基準が明確にならないというのも事実です。そこでマイクロペイメントを活用することで、ユーザーにとって支払いのハードルを低く保ちながらも、一部の記事だけを有料化することができるようになります。

また、Googleもペイウォールへの対応を進めています。現在Googleでは、英語圏のメディア限定ですが、Offerwallというサービスを提供しています。このOfferwallはモバイルアプリ内で広告や得点を提供するためのインタラクティブな表示領域で、ユーザーがアプリ内で特定のアクションを実行することで、ゲーム内の通貨や得点を獲得することができるリワード広告に、主として用いられています。

現在、アメリカ国内以外ではこのリワード広告にのみ利用されていますが、英語以外の言語圏にもサービス提供を拡大し、機能面でもペイウォールに適用される予定となっています。そのため、Googleのアドネットワークを利用している日本国内のパブリッシャーもオファーウォールへのアクセスが可能となり、ペイウォールを実装することになった場合にコンテンツを選ぶ基準や指標を早い段階から決めておくことができれば非常に優位に立ち回ることができます。

5. フォーエムが提供するサービス

当社が提供するAnyManagerを利用すれば、当社が発行する独自のjsタグを設置するだけで、簡単にWebメディアに少額でのペイウォールを実装することができます。

パブリッシャーが独自にペイウォールを実装する場合、多くの時間と開発費用がかかってしまいます。そこでこの度、当社は、シンガポール発のパブリッシャー向けに収益化支援を行うフィンテックスタートアップ企業、Fewcentsとパートナーシップ契約を締結し、AnyManager経由でペイウォールを実装することを可能にしました。

<Fewcentsのマイクロペイメントを実装した海外メディアのUIイメージ>

<Fewcentsのマイクロペイメントを実装した海外メディアのUIイメージ>

Fewcentsのサービスを導入して成功した事例として、インドの日刊紙「Sakal」の例が挙げられます。同社は、2018-2019年にかけて紙の広告収入が30%減少し、デジタル戦略の第一歩として、マイクロペイメントを導入しました。一度は自社でシステムを開発・導入したもののうまくいかず、Fewcentsを導入することとなりました。

結果として、導入6ヶ月間で有料ユーザーは2倍に増加し、ユーザーが一度ログインした場合のRPMは114倍という結果が得られています。また、コンテンツ購入のリピート率も高く、約20%のユーザーが1ヶ月に10件以上コンテンツを購入しています。

フォーエムはこれまでに、国内で多くのWebメディアでの広告マネタイズを支援してきましたが、本契約を皮切りとして、コンテンツの販売も組み合わせることで、これまで以上に持続可能なメディアビジネスを確立することに貢献できると考えています。

マイクロペイメントに関しては、ただペイウォールを導入するだけでは収益を見込めません。フォーエムは、コンサルティングを通して各Webメディア毎の最適なペイウォールの導入方法や価格設定等、コンテンツを売れるようにするために伴走しながら支援を行います。

熱意を持ってコンテンツを作成しているパブリッシャーを引き続き応援していくためにも、Fewcentsのテクノロジーとフォーエムのメディアグロースの知見を融合することは大きな意味を持つと考えています。

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